- 子宮の病気……子宮筋腫、子宮内膜炎、子宮内膜症、子宮膣部びらん、 子宮頸管(けいかん)ポリープ、子宮がんなど。
- 卵巣・卵管の病気……卵巣機能不全、卵巣のう腫、卵巣腫瘍(しゅよう)、 卵巣炎、卵管炎、卵巣がんなど。
- 膣の病気……膣炎など。
- 外陰の病気……外陰炎、外陰掻痒(そうよう)症、外陰潰瘍(かいよう)など。
- 乳房の病気……乳腺(にゅうせん)症、乳腺腫瘍など。
婦人科一般
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Q.1婦人科で診てもらう病気にはどんなものがあるの?
A女性の体はとてもデリケートで、ホルモンの影響などによって年齢とともにさまざまな変化がみられます。その変化の過程のなかで起こる気になる症状や病気などを診断・治療するのが婦人科です。女性のみが持つ器官の代表的な病気は表(※)の通りです。 肩こりや貧血など症状も女性ホルモンのバランスが崩れて起こるケースもありますから、まずは婦人科に相談を。婦人科で検査をして異常が認められなかった場合は専門の科を紹介するなど、婦人科はいわば病気の交通整理の役割も果たします。
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Q.2どんな症状が出たら婦人科に行くべき?
A普段から次の点をチェックしましょう。
- 月経の異常……正常な周期は25〜36日、期間は5〜7日。下腹部痛や腰痛、おなかが張るなどの症状を伴うことがあるが、日常生活に支障がない範囲なら正常。
- 不正出血……月経以外の不規則な出血がある。
- おりものの異常……正常なおりものは無色透明〜クリーム色で無臭に近い。
- 外陰部の異常……外陰部がかゆい、赤くただれる、痛い、しこりがあるなど。
- 乳房の異常……しこりや痛み、乳頭が黒ずんだり分泌物が出るなど。
- 腹痛……子宮や卵巣、卵管の病気によって腹痛が起こるケースもある。
各症状から疑われる病気を一覧表(※)にまとめましたので参考にしてください。
- 月経の異常……正常な周期は25〜36日、期間は5〜7日。下腹部痛や腰痛、おなかが張るなどの症状を伴うことがあるが、日常生活に支障がない範囲なら正常。
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Q.3婦人科で診察を受けるのがおっくうなのですが?
A「病気が見つかるのが怖い」と放置しておくと、つねに気にかかり、不安や悩みが増したり、そのストレスから症状が悪化するケースもあります。一度、婦人科の医師に相談すれば、今までの悩みが吹き飛んでしまうことも多いのです。病気が発見された場合も、最近は早期発見・治療によって完治できるケースがほとんどです。 とくに30歳以降の女性は年に1回、婦人科の定期検診を受けることをおすすめします。 -
Q.4婦人科ではどんな検査をするの?
A通常、初診の患者には問診と内診、超音波検査(エコー)を行い、さらに必要に応じて次のような検査を行います。
- 血液検査……ホルモンの状態や貧血、がん細胞の有無などを調べる。
- 尿検査……細菌や血液、白血球、タンパク質の有無、ホルモン分泌などを調べる。
- MRI(磁気共鳴映像検査)……体の立体的な断面撮影が可能。病変と周囲の関係や進行範囲なども調べることができる。
- 腹腔鏡(ふくくうきょう)検査……子宮や卵巣をカメラを通じて画面に映し出す。
病巣組織を切除することもある。 - 細胞組織検査……がんや子宮内膜の検査に
- 血液検査……ホルモンの状態や貧血、がん細胞の有無などを調べる。
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Q.5内診ってどのように調べるの?
A内診は、まず診察台に上がり、足を所定の位置に載せます。おなかのあたりにカーテンが引かれます。医師はゴム手袋を着け、片方の手の指を膣内に入れ、もう片方の手でおなかを軽く押さえ、はさむようにして子宮や卵巣の状態を調べます。通常、内診は2〜3分で終わります。 -
Q.6内診が恥ずかしいのですが。
A内診は婦人科の病気にはとても重要な診断法ですから、ぜひ受けてください。
性体験がない若い女性など、どうしても膣からの診察に抵抗がある人には、お腹の上からの超音波検査を行います。 -
Q.7検査費用は保険が効かないと聞きますが?
A婦人科の病気が疑われ、適切な治療を行うための検査には保険は適用されますので安心してください。 -
Q.8婦人科で手術が必要な場合は?
A手術が必要かどうかは、症状の進み具合や年齢、出産を希望するかどうかなどによって異なりますが、次のような病気があります。
- 悪性の腫瘍……子宮がん、卵巣がん、膣がんなど悪性の腫瘍がある場合。
- 子宮筋腫……子宮を全部摘出する手術と、筋腫だけを切除する手術がある。症状の強さや年齢、妊娠の希望の有無などによって選択。
- 子宮内膜症……一般に子宮全体が大きく腫れている場合は子宮を全部摘出し、卵巣にしこりがある場合はできるだけ卵巣の組織は残し、腫瘍だけを摘出する手術を行う。
- 卵巣腫瘍……腫瘍が7センチ以上の場合や小さくても悪性と疑われる場合など。
- その他……子宮外妊娠、卵巣の腫瘍がねじれている場合など。
- 悪性の腫瘍……子宮がん、卵巣がん、膣がんなど悪性の腫瘍がある場合。
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Q.9子宮を取ったら女性ホルモンは分泌されないの?
A「子宮を取ったら女性でなくなる」と心配したり、夫から言われて傷つく女性も多いようです。子宮は赤ちゃんを育てる場所で女性ホルモンを作るのは卵巣です。卵巣が残っていれば女性ホルモンは分泌されますし、卵巣を摘出した場合も副腎皮質から分泌されたホルモンが転換されます。 -
Q.10女性ホルモンが減るとどんな体の変化が起こるの?
A女性ホルモンが減少すると、正常な月経が訪れなくなるだけでなく、血中のコレステロール増加を抑える働きや骨からカルシウムが流出するのを防ぐ働きが弱まり、動脈硬化や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などが起こりやすくなります。また、コラーゲンの生産も減少させ、皮膚の張りやつやが失われてしまいます。女性ホルモンの不足は卵巣や血管、骨、皮膚など全身に影響を及ぼします。 -
Q.11ホルモンバランスを保つための食事法は?
Aまず、規則正しい食生活を送り、拒食しないこと。脂肪や糖質の摂り過ぎによる肥満には注意しましょう。エネルギー源が体内でスムーズに使われる働きをするのがビタミン・ミネラルです。ビタミン・ミネラルを多く含む野菜や海藻類、果物などを、毎食たっぷり摂ります。天然のエストロゲンを多く含むだいずや芽きゃべつ、ざくろなどもおすすめ。 また、女性ホルモンの減少による骨粗鬆症を予防するため、カルシウムをしっかり摂りましょう。カルシウムの吸収を助けるビタミンDを多く含むレバー、カツオ、イワシなどをいっしょに摂ると効果的です。 -
Q.12ピルはどのように利用するの?
Aピルは女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンを合わせた内服薬で、排卵を抑えて子宮内膜や頸管粘液の状態を変えることで、避妊する働きがあります。 通常、3週間毎日服用したら、1週間休むという28日周期の服用となります。ピルを服用し、人工的に28日周期にするため、月経日をコントロールできます。ピルの処方には婦人科での診察・検査が必要です。 -
Q.13ピルを使うときに注意することは?
Aまず、医師の指示に従って用法を守って正しく服用すること。高血圧や心疾患、乳がんなどのある人は使用できませんから、これらの病気にかかっていないかどうかの検査を必ず受けてください。 注意が必要なのが、ピルはコンドームと異なり、エイズや性感染症の予防にはならないということです。最近は不特定多数の男性とセックスをすることで性感染症にかかったり、予期せぬ妊娠に後悔する女性が増えています。セックスは信頼できるパートナーとだけするようにしたいものです。 -
Q.14ピルの副作用が心配ですが?
Aピルの副作用として、吐き気や不正出血、乳房痛、肝機能障害、血栓症などが起こることがあります。ピルを服用することで、がんの発生率が高くなることはありません。副作用が起こった場合は医師に相談してください。ピルにもさまざまな種類がありますから、薬を変えることなどで副作用が出なくなることもあります。 -
Q.15婦人科の病気を予防するために気をつけることは?
A規則正しい生活を送ることに加え、次のことに気をつけてください。
- 適度な運動を……基礎体力をつけるとともに、気分のリフレッシュにも効果的。
自分の体力に合わせて無理なくできる種目を選ぶ。 - ストレス解消を心がけて……趣味やスポーツ、友人とのおしゃべり、カラオケなど自分に合ったストレス解消を。
- 年1回は婦人科の定期検診を……30歳を過ぎたら年1回は婦人科の定期検診を受けて、健康チェックを行うこと。
- 婦人科のホームドクターを持とう……ちょっとした体の異常や悩みを気軽に相談できる婦人科のホームドクターを、自宅または仕事場の近くに持つこと。
- 適度な運動を……基礎体力をつけるとともに、気分のリフレッシュにも効果的。
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Q.16排卵日あたりに排卵痛があります。大丈夫なんでしょうか?
A排卵痛の原因は一度診てみないと分かりません。原因がはっきりしないことも多いですが。子宮内膜症や、クラミジアなどの感染などで卵巣周囲に癒着が生じると排卵痛の原因となることもあります。排卵前にはホルモンの関係でおりものは増えますが、おりものの色や臭いが気になるようなら一度診察に来てください。 -
Q.17不妊治療について質問です。診察はパートナーも一緒に伺った方がいいのでしょうか?
Aご一緒に来ていただく必要はありません。パートナーが不妊で受診しているというだけでかなりプレッシャーに感じる男性が多いようです。もちろん一緒に説明をお聞きになりたければ、どうぞいらっしゃってください。 -
Q.18卵巣嚢腫”について、その症状や検査方法、そして病気の兆候について教えてください。
A卵巣嚢腫は病気の兆候はほとんどなく、偶然見つかることが多い疾患です。かなり大きくなった場合にはおなかから触れて見つかることもありますし、腰痛の原因となる場合があります。子宮内膜症による卵巣嚢腫の場合は、生理痛がひどくなったり、性交痛がある場合もあります。内診や超音波エコーによって大きさや、内容の状態を調べます。悪性・良性の鑑別には血液検査による腫瘍マーカーのチェックやMRI撮影などが必要になる場合もあります。
基本的には直径が5〜6cmを超えるものは手術の対象と考えていいでしょう。 -
Q.19旅行へ行く予定がありますがちょうど生理日にあたるため、できればずらしたいと思っています。
A生理をずらすには、ホルモン剤の投与が必要です。したがって、医師の処方箋が必要です。また、妊娠の可能性のある人には、投与できません。生理を早めるには、月経開始後、5日目くらいのうちに来院してください。生理をのばすには、次回生理開始の5日前くらいに来院してください。また、生理不順の方は早めに医師へ相談してください。 -
Q.20性行為の際、少量の出血があり、少し痛みが伴う事もあります。
A多くの成人女性の子宮の入り口には、子宮膣部ビランが認められます。子宮膣部ビランの部分は、他の部位よりも出血しやすく、そのための接触出血の可能性も否定はできません。しかしながら、子宮癌か否かは、検査を受けなければ、わかりませんので、子宮頸癌の検査などを受けた方が良いと思われます。 -
Q.21最近、生理が不順で、予定がたたずに困っています。
A婦人科的に異常がないか調べたほうが良いでしょう。特に異常が無い場合は、ピルをお勧めします。ピルを内服すると、1カ月に1回の規則的な生理の周期となります。また、生理痛が緩和される場合もあります。ただし、ピルは避妊薬ですので、妊娠を希望していらっしゃる方には使用できません。 -
Q.22最近チーズのような織物が出て、膣の周りもかゆいのですが・・・
Aカンジダ膣炎の可能性がありますので検査が必要です。 -
Q.23最近、出血で下着が汚れます。受診は必要ですか?
A念のため子宮体癌の検査をお勧めします。 -
Q.24エイズが心配です。いつごろ検査を受けたらよいですか?
Aエイズの抗体は、3ケ月後に血液検査で陽性となります。心配な性交から3ケ月後に検査を行うのがよいでしょう。 -
Q.25生理のときにレバーのような固まりが出ます。何か異常があるのでしょうか?
A血液中には、血が止まる成分が含まれているので、固まり自体は異常ではありません。しかし、固まりが出るときは月経量が多いことがあります。子宮筋腫の有無、貧血の有無など調べる必要があります。 -
Q.26年々、生理痛が強くなっています。
A生理痛が強い人の中には、子宮筋腫や子宮内膜症の可能性がありますので、受診をお勧めします。また、痛み止めは早めに内服した方がよいでしょう。